
海外FX業者と顧客の間を取り持つ業務についてから長くなり、海外FX業者についてそれなりに知識が増えたので、「海外FX業者の実態」についての知識をシェアしたいと思います。
「海外FXは怪しい」、「海外FX業者は詐欺」という意見があることも知っていますが、それでもTwitterなどを見ていると極端な意見も多く、それなら、自分の感じている正直なところを書こうと思った次第です。
仕事を通じて付き合いもあるので、海外FXの【危険性】や【リスク】について、多少真実に近い部分も書けると思います。
海外FXの【危険性】や【リスク】について、本当の所を知りたいという方は読んでみて損はないと思うので、どうぞお読みください。
このページの目次
海外FXって何が危険なの? 何がリスクなの?
「海外FXの何が危険なのか?」と聞かれて、皆さんが思い浮かべることは何でしょうか?
海外FX業者を利用する不安要素
- お金を預けても大丈夫?
- 営業停止になったりしない?
- トラブルに遭った場合、英語でやり取りするの?
上に挙げたような不安を感じるのかもしれません。
まずは、自分のお金を預ける先として、海外FXは信用できるか、というポイントにおいて、ネット上に客観的に書かれている記事も少ないので、書いていきたいと思います。
海外FXの何が危険なのか?
海外FXは前提として、その本拠地は海外にあります。
業者として従っている法律はありますが、それは日本国の法律とは異なるものです。
海外FX業者の中には、日本に事務所を置き日本の規制下で営業している業者もいますが、このページで言う海外FX業者とは、日本の規制外で運営している海外FX業者を指します。
日本の規制下で営業している海外業者
- オアンダ・ジャパン
- デューカスコピー・ジャパン
- サクソバンク証券
日本の規制外で営業している海外業者
- XMTrading(エックスエム)
- FXPro(エフエックスプロ)
- TaitanFX(タイタンFX)…etc
日本の規制下で営業する場合、FX業者に課せられる規制とはどういったものなのでしょうか?
主なポイントは5つあり、〇レバレッジ制限、〇ロスカットルール(強制ロスカット)の徹底、〇証拠金の管理方法、〇勧誘規制、〇両建て取引の禁止が挙げられます。
日本では、2011年度にレバレッジ規制されて以降、業者サービスの傾向として「低スプレッド」+「高スワップ」を提供する流れができ、国内ではスプレッドを下げる競争や高いスプレッドだけど高スワップを提供する競争が激しくなっています。
しかし、トレーダーの中には「ハイレバレッジ」+「豊富なボーナス」を求める層も多く、そういった層が日本規制外の海外FX業者を利用しているという現状です。
日本の金融庁に登録していないから、危険なリスクがある?
日本の規制外の業者を利用するのは危険なのか?
日本の金融庁の規制下であることと、規制外であることの違いは、日本居住者に向けて直接的な営業が可能かどうか、というポイントです。
日本規制下の業者は、規制下に入ることによって以下のことができるようになります。
日本の規制下に入ることのメリット
- 日本居住者に向けて、直接的な営業・宣伝活動ができる
- 日本に営業事務所を設置できる
もちろん、日本に事務所があれば、ある程度の信用は担保できますが、サービス内容が必ずしも良いというわけではありません。
そのため、自ら海外FX業者の提供するサービスを利用したいと考えているトレーダーは、海外FX業者は直接的な営業や宣伝活動も行えないので、自己責任の範疇で、業者を探し選択する必要があります。
この「自己責任の範疇で業者を探す」、というのを危険だと考える方もいるかもしれません。
たしかに、何も情報をリサーチしないまま業者を選ぶとすれば、危険な業者を選んでしまう可能性はあります。しかし、情報を精査して海外を見渡せば、まともな業者も数多く見つかるでしょう。
そして、海外FX業者側も、日本人顧客を受け入れるために、日本語サポートを設置し、事実上、日本人トレーダーの受け入れサポートしている業者が多くあります。
海外FX業者は、保有している金融ライセンス国の規制に従っている
海外FX業者を利用する場合、「日本の規制外の業者にお金を預けて大丈夫?」という不安はありますが、信頼できる海外FX業者は無法で営業しているわけではなく、保有している金融ライセンス国の規制に従って営業しています。
そこで海外FX業者を利用したい人は、まず最初に「金融ライセンス」をチェックすることをお勧めします。
金融ライセンス発行の条件は国によって違うので、業者の取引条件も保有ライセンスによって異なってきます。
規制の代表的なものは、レバレッジ規制です。
下の表は、主要な国のレバレッジ規制を表したものです。
国名 | レバレッジ規制 |
---|---|
日本 | 25倍 |
香港 | 20倍 |
韓国 | 20倍 |
アメリカ | 100倍 |
カナダ | 100倍 |
イギリス | 無制限 |
オーストラリア | 無制限 |
このように、レバレッジ規制ひとつとってみても、大きく異なります。
国の基幹産業として金融業を行っているイギリスではレバレッジは無制限となっていいます。
このため、ハイレバレッジを提供する海外FX業者の多くは、イギリスが発行するFCAライセンスを保有しています。
イギリスが発行するFCAライセンス(金融取引業登録)では、レバレッジは無制限ですが、その他の財務基盤や、資金管理方法には厳しい規定があり、ライセンスとしての取得難易度は非常に高いと言われています。
XMグループなどのFCAライセンスを持つ企業は、一定の信頼を置けると言えるでしょう。
オフショアライセンスで営業する海外FX業者
それでは、実際に業者が日本向けに営業する際に利用しているオフショアライセンスについて、少しお話しします。
海外FX業者は、日本人顧客向けのサーバーには、一般的にオフショアライセンスを使用しています。
なぜ、本拠国のライセンスを使用しないかというと、日本の金融庁が、海外FX業者が日本語サポートを設置することを心よく思わず、本拠国の金融取引監視機関に圧力をかけて日本語サポートを撤去させることが常態化していると言われています。
そのため、業者側は自衛手段として、日本の金融庁の圧力を受けづらいオフショアライセンスを選択しているそうです。
一部の業者では、信頼のおけるライセンスを保有していても、金融庁からの圧力を避けるため、親会社のホワイトラベルという形で営業していることもあります。
広義的にはFX会社が取引サーバー、メタトレーダー、為替レートを、一つのパッケージとして他社に提供することを指し、狭義的には提供を受けた会社を指すこともあります。ホワイトラベル業者は、提供元と同じ取引条件になりますが別レーベルとして営業活動できるようになります。
オフショアライセンスとは、先進国ライセンスとは違い、比較的審査条件の緩いオフショア国家(ベリーズやバヌアツ共和国など)が発行する金融ライセンスのこと。
先ほど、チラっと話しましたがライセンスにも厳格なライセンスと、審査の緩いライセンスも存在します。
厳格な国家ライセンス
- FCA(英国)
- ASIC(豪州)
- Cysec(キプロス)
比較的審査の緩いオフショア国家ライセンス
- IFSC(ベリーズ)
- CIMA(ケイマン諸島(英))
- セントビンセント及びグレナディーン諸島
- VFSC(バヌアツ共和国)
オフショアライセンスは比較的、取得難易度が低いため、海外FX業者の評価も低く見られがちです。
しかし、2つのライセンスの違いは、主に資金管理方法にあると言われています。
「信託保全」と「分別管理」です。
「信託保全」の場合は、業者が破綻した際には第3者が資産を管理して、顧客に返還していく方法を取り、ある程度の補償額を決める義務があります。
厳格なライセンスが要求しているのは「信託保全」ですが、一方「分別管理」でも顧客資産は保護されます。
「分別管理」の場合は、運営資金と顧客資金を分けて管理し、業者が破綻した際には業者自身が資金返還の義務を負います。
どちらも顧客資金の保護を求めていることは同じで、「信託保全」の方が財務的な体力を求められることは事実ですが、分別管理だけでも資産保護の役割は十分に果たしています。
昔、信託保全の義務がなかったバブル崩壊のころ、山一證券が破綻した時、大きな負債を抱えていましたが、顧客資産は「分別管理」をしていたおかげで、顧客の資産は保護され、そのまま全額返還されました。
これは、分別管理されていてよかった例のひとつでしょう。
しかし、近年、仮想通貨業界では法整備が追い付かず、窮地に陥った例もあります。
2018年、仮想通貨取引所であるコインチェックの顧客資産が盗難にあうという事件が起きました。「信託保全」も「分別管理」も整備していなかったため、注目が集まりましたが、コインチェックは自らの資産から顧客に補償をしました。
たまたま、コインチェックには補償をする体力がありましたが、資金管理体制がずさんであったことで非難の的になり、仮想通貨業界全体の法整備が進んだと言われています。
このように顧客の資産保護という面では、顧客側は業者に委託することしかできないので、できるだけ慎重に業者を選んだ方がよいのは確かです。
業者にお金を預ける際には、信託保全であれば望しいですが、最低限「分別管理」されていれば顧客資産は保護されます。
海外FX業者の安全性を見抜くポイント
資金管理方法については、「分別管理」が徹底されていれば問題ないですが、ライセンスをチェックする際に一つ気を付けた方が良いポイントがあります。
審査の緩いオフショアライセンスを貶めるつもりはないのですが、審査が緩いことを知ったうえで狙ってオフショアライセンスを取得する業者もいることです。
そういう業者には注意をしておいた方がよいでしょう。
そういった業者は、金融規制の厳しい東アジア諸国に向けてサービスを提供することだけを目的に設立されるため、財政基盤がもろい可能性もあります。
なので、資金の保全リスクを避けるためには、オフショアライセンスだけを保有している業者ではなく、グローバルに複数のライセンスを取得している業者を選択することをおすすめします。
というのも、グローバルに展開する業者は、厳格なライセンスを基準に運営しており、日本に向けたサービスも、本国並みの基準で提供していることが多いからです。
そのため、本国での営業実績なども業者の危険性やリスクを測るうえで参考にしたいポイントです。
現地での口コミなどをインターネット調べると実際に営業しているかどうかは、十分に伝わってきます。
しかし、過去に日本人顧客を受け入れ停止した海外FX業者も……
業者を選ぶ際に気を付けるべきは、業者の破綻リスクより“日本人向け営業の撤退リスク”かもしれません。
海外FX業者の中には過去に日本人顧客の受け入れを停止した業者もあります。
過去に日本人顧客の受け入れを停止した業者
- FPmarekts(FPマーケット)
- ThinkForex(シンクフォレックス)
- BlueBerryMarkets(ブルーベリーマーケット)
- VantageFX(ヴァンテージFX)
……etc
撤退の理由はさまざまですが、思うように顧客を集客できなかったり、コンプライアンス的な問題で撤退したりしています。
日本人顧客の受け入れ停止時の対応もさまざまで、期日を知らせてポジションを強制決済して証拠金を返金したり、新規での口座開設の受け入れを停止しただけで、既存ユーザーはそのまま利用可能だったり、業者によって対応が違うようです。
これらの業者は、まだ本国では営業を続けており、事業が破綻したわけではないので、入金したお金は保護され無事返金されたので、補償問題には発展しませんでした。
日本語サポート体制の充実
さて、海外FX業者を利用する上で、注目したいのが日本語サポートの質です。
もしも、取引中にトラブルに遭った場合、直接日本語で問い合わせることのできるサポート体制が整っているかどうかも、リスクを測る重要なポイントです。
- 「サーバーがダウンして、一時的に取引ができず含み損が広がった」
- 「出金リクエストをしたけど、受理されずに出金ができない」
こうした個別のトラブル時にしっかりとした対応をしてくれるか、どうかも重要なポイントです。
たまに、公式サイトに日本語ページはあるけど、日本語サポートがいない場合もあるので注意しましょう。
(口座開設前に、公式ライブチャットで確認することが可能です)
日本向けのマーケティングに力を入れている会社であれば、必ず日本語サポートを充実させています。
こうした人的資材にも投資を惜しまず、日本語サポートを維持運営している業者は、企業としての信頼度にもつながっています。
ネット上に溢れる海外FXに対しての極端な意見
さて、もう一つの海外FX業者にまつわる怪しい評判の原因は、Twitterを始めとするSNSにおける口コミでしょう。
インターネットにおける口コミの多くは両極端です。
「海外FXですごく儲けた」
「日本のFXでやるよりお金を稼げる」
という意見もあれば
「海外FXは詐欺」
「海外FXに騙されるな」
という意見もあり、どちらを信じたらよいかわからない、というのが本当のところです。
海外FXが儲かるという極端な意見
儲かるなら誰にも話さずに親しい人にしか話さないはずなのに、「これは儲かる!」とやたら告白をする人がSNS上には多く存在しています。
そのような人たちが、開設を勧める口座がMT4を使った海外FXだったりするので、海外FXに不信感を持ってしまってる人もいるかもしれません。
しかし、これは海外FX業者特有の構造的欠陥が原因です。
先述したように、海外FX業者は日本でのマーケティングが許可されていないため、日本在住のアフィリエイトに頼った広報活動をしています。
アフィリエイトの中には、十分なリサーチをしないまま、アフィリエイトの紹介料欲しさに、捻じ曲げた情報を展開することが多々あります。
紹介したトレーダーの取引量によって紹介報酬も変わるので、たくさんの人を紹介して口座開設してもらうことに意味があるのです。
取引画面を出して「これだけ儲かった」と自慢をして射幸心を煽ったり、「必ず儲かるEAを配布します」と怪しいコミュニティに誘って、入会条件として海外FX業者で口座開設させたり、と何かと悪いイメージが付いてるのは、こうした構造が原因です。
筆者の意見としては、海外FXだから儲かるというのはなく、ハイレバレッジやボーナスと上手に利用すれば大きな利益をあげる手法がある、というのが一番近いかもしれません。
個人的には海外FX業者が提示する取引条件は自由度が高いため、厳格にルール設定をする必要性も感じます。
レバレッジやスプレッドなど、国内のFX業者とは取引条件が異なるので、それらの取引条件に合わせて自分の取引手法を最適化していくことが必須です。
海外FXは詐欺で危険という極端な意見
行き過ぎた表現によって、海外FXそのものを詐欺で危険だと思う人が増えたのも無理からぬ話です。
しかし、海外FX業者でもまともな業者は高いクオリティと厳格なコンプライアンスを保持しています。
そのため、第三者機関による公平な審査である金融ライセンスを十分に吟味するべきでしょう。
ライセンスというのは、業者の安全性基準を測る上で重要なのは、すでに述べた通りですが、先進国ライセンス審査を修了した業者は、財務的にもコンプライアンス的にも、ある程度の信頼性が置けると言えます。
筆者の意見としては、海外FX業者のすべてを詐欺だと認定するのは、また行き過ぎた表現だと思います。
詐欺まがいの業者はいることは否定しませんが、すべての業者にあてはまるわけではありません。
ただ、注意するべきは、業者ごとに取引条件が違う為、利用する際には、業者ごとのルールを理解することが必要だと思います。
海外FX業者の危険性とリスクまとめ
「海外FX業者の危険性とリスク」について、いろいろと書いてきましたが、普段怪しいと思われている海外FX業者の実態というのが、少しでも伝わればありがたいです。
最後になりますが、海外FX業者を使う際に、チェックするべきポイントをおさらいしておきます。
海外FX業者の信頼性を測るポイント
- 信頼性を測る金融ライセンス
- 海外本拠地での実績は? ちゃんと営業しているか?
- 日本語のサポート体制は?
この3つのポイントをチェックしてみれば、海外FX業者探しは、きっとはかどるでしょう。
そして、業者を選んだあとも、自己防衛として、以下のことを守って上手に利用することをおすすめします。
顧客ができる自己防衛手段
- お金を預けすぎない
- ひとつの業者に拘らない
海外FX業者に限らず、投資は自己責任で行うことが求められます。
上記の2つのポイントは、リスクを分散することにつながります。
お金を預けすぎないというのも、立派なひとつの防衛手段です。
また、海外FX業者はいろいろな業者があり、取引条件も千差万別ですので、自分に合った業者を選ぶことが、投資の結果へとつながります。
ぜひ、この記事を業者の危険性やリスクを判断する時の参考にしてください。